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またしても10番が0円で流出…MF白崎凌兵が鹿島アントラーズに完全移籍 8年間在籍した清水を退団

来る人あれば去る人あり…こちらも噂になっておりましたが、MF白崎凌兵鹿島アントラーズへの完全移籍が発表されました。

入団してから8シーズン在籍(途中1年半はレンタル移籍)した清水を離れることになります。

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白崎は2012シーズンに清水に入団。入団当初から高い能力が評価されており1年目の開幕戦にも途中出場したほどでしたが、プロの壁は厚くなかなか出場機会を増やせないでいました。

2年目の2013シーズン途中から当時J2のカターレ富山に期限付き移籍し、そこで1シーズン半を過ごします。ゴールこそ少なかったものの、1年半を通じてほぼレギュラーとして経験を積みました。

2015シーズンに清水に復帰するも、シーズン開幕からチームが下位に低迷するなかなかなかレギュラー定着とはいきませんでしたが、シーズン後半になると監督交代の影響もあり出場機会が増えることとなります。

J2に降格した2016シーズンは小林伸二監督の元、序盤はなかなか勝ちきれないでいましたが、白崎が起用されるようになるのと同時にチームも調子を上げ、シーズンが終わるまで不動のレギュラーとして活躍。

持ち前の高い技術と攻撃センス、毎試合のように走行距離でもトップレベルを示し、チームの勝利とJ1昇格に大きく貢献します。

中でも第34節セレッソ大阪戦の後半アディショナルタイムに決めた決勝ゴールのミドルシュートは、結果としてそこから続くシーズン最終節までの9連勝、そして自動昇格へとつながる分岐点ともなるたいへん貴重なゴールとなりました。白崎のあのゴールがなければ今、清水はJ1にいない可能性もあります。

ちなみに、そのゴールは後に2016シーズンのJ2ベストゴールにも選出されました。オフィシャルの動画ではないですがお借りします。

J1に復帰した2017シーズンからは背番号10を託されます。途中怪我により離脱がありましたが、その時期を除けば主に左のサイドハーフとしてほぼフル出場。苦しいシーズンでしたが残留に貢献しました。

そして今シーズンはヤン・ヨンソン監督の元、サイドハーフだけではなく、ボランチとしてもプレー。やはりここでも豊富な運動量で攻守に渡って中盤を支え、またビルドアップで清水のゴール量産にも貢献しました。

 

このように振り返ると、将来有望株としてチームに入団してから順調にステップアップを果たし、ポジションの幅を広げ、経験を積み、やっとチームとしても個人としても更に高みを目指すという段階に入ってきた中で移籍を決断したということはサポーターからすると残念なことではあります。

しかし、サッカー選手生命は長いようで短いですから本人も考えた上での移籍だったのでしょう。その気持は理解してあげたいと思います。特に移籍先の鹿島には清水に同期入団したDF犬飼智也も移籍しており、元チームメイトからの影響もあったのかもしれません。

 

この白崎の最近の移籍報道の中で「移籍金なしの0円移籍」であることがネガティブに捉えられることが多くありましたが、これは制度上どうしようもない面もあります。

シーズンで契約が満了する選手は他のクラブが獲得する場合に移籍金(実際には契約解除に伴う違約金)が発生しないため、獲得がしやすい傾向にあります。

これを防ぐためには契約中のクラブが早めに選手に契約延長を打診して違約金を再度設定するわけですが、契約延長をする場合には年俸も高くして打診するわけで、その年俸をクラブが払えないから(例えばJ2降格するかもとか、選手が怪我するかもとか、二の足を踏んで)契約延長を打診できないとか、高い年俸を打診しても選手や代理人が不十分だと考えたとか、そうそう簡単に契約延長はできません。

ここをうまく出来るようにするにはやはり清水が更に強くなってJ2への降格の危険性がなく、資金的にも安定するようなクラブになることが必要ではないかと思います。今シーズンの清水も夏までは「もしかして来年J2?」というような位置まで落ちた時期もありましたので。

白崎は富山時代を含めれば4シーズンも連続して降格・残留・昇格に関わるシーズンを味わっており、鹿島のようにあまり降格の心配がないクラブに行きたかったのかな…と好意的に思えばそうなります。

 

上にも書きましたとおり、白崎が清水で過ごしてきた中で選手として成長し、チームを助けてくれたこと。そして特にセレッソ大阪戦のゴールでJ1昇格に大きく貢献してきたことは紛れもない事実で、その事は変わりません。

移籍したあとの白崎を応援するかしないかは人それぞれだと思いますが、ここまで清水で頑張ってくれたことについては心から感謝したいと思います。ありがとう白崎!

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